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コラム 「事業承継税制の特例」 ご質問にお答えします!


 

この度の事業承継税制の特例は、大変複雑で、皆さんがすべてを理解するのは難しい制度と感じております。

しかし、制度のポイントを理解し、お客様に的確に伝えることができれば、信頼を得るチャンスともいえます。

今回は、皆さんからよく頂くご質問にお応えしてゆきましょう。

 

~ 目次 ~

Q.事業承継税制とは、そもそもどのような制度なのでしょうか?

Q.今回の特例と言われている事業承継税制は、これまでの事業承継税制と何が違うのでしょうか。

Q.具体的な適用のながれを教えてください。

 

Q.事業承継税制とは、そもそもどのような制度なのでしょうか?

 

A.事業承継税制とは、経営者が所有する自社株式を、後継者に相続または贈与をする際、

 本来かかる相続税や贈与税を、一定の要件のもとで猶予(保留)する制度です。

 その後継者が、事業を継続し、取得した自社株式を保有したまま死亡した場合などに、

 猶予されていた税額が免除となります。

 

Q.今回の特例と言われている事業承継税制は、これまでの事業承継税制と何が違うのでしょうか。

 

A.これまで経営者が所有する自社株の一部しか納税猶予の対象にならなかったのですが、

平成30年度の税制改正によって、全株式が、相続税・贈与税の納税猶予の対象になりました。

2027年まで10年間の期間限定であることから、「特例事業承継税制」と言われています。

 

 

Q.具体的な適用のながれを教えてください。

 

A.特例事業承継税制は、現在の経営者から相続または贈与で株式を後継者に渡すときに使います。

今回の特例は、贈与での活用が中心となりますので、贈与のケースを時系列でご説明します。

 

      ①贈与

現在の経営者(父)から後継者(子)に株式の贈与を行いました。

本来は多額の贈与税がかかる場面です。

しかし、この贈与税について、事業承継税制の特例を使うことで、納税猶予を受けることができるのです。

 

  ②父の相続開始

自社株の承継後、後継者が事業を続けていましたが、先代の経営者である父が亡くなりました。

すると、これまで猶予されていた贈与税が事業承継税制によって「免除」になります。

 

しかし、贈与税が免除されて、手続きが終わるわけではありません。

はじめに贈与を受けた株式は、贈与時の価格で相続財産に加算して、全体の相続税が計算される仕組みになっているのです。

贈与税の納税猶予は、単に、贈与税から相続税に、繰り延べられただけと考えていただければよいでしょう。

しかし、ここで相続税を課税されては、特例の意味がなくなってしまいますから、

自社株に限っては、相続税についても納税猶予の適用を受けることになるのです。

 

  ③後継者(子)の相続

時はながれ、後継者であるお子さんが事業を続けた後、お亡くなりになりました。

数十年の年月を経て、ようやくここで、父の相続税が免除になります。

後継者が亡くなって初めて、先代からの株式の承継の際の税金が、完全に免除になるという、

なが~~いスパンの制度になっているのです。

 

 

事業承継税制は、当初、相続に重点をおいた制度になっていましたが、今回の特例は全く異なる特徴を持っています。

この10年間におきた贈与・相続に限って適用できますので、相続で適用を受けるというケースは限られ、多くが贈与で活用されると考えていただくとよいでしょう。

 

2023年3月までに特例承継計画を都道府県に提出する必要がありますので、今まで「何もしない」ことを信条としていたオーナーも、いよいよ具体的な検討を行うべきタイミングとなりました。

ぜひ積極的に情報提供をしていただきたいと思います。

 

 

今回の内容をビジュアルで学びたい方は、こちらもご覧ください。

「イメージで理解する 事業承継税制の特例 第2回」

 

制度の概要については、こちらの資料もご活用ください。

平成30年度事業承継税制の改正の概要(中小企業庁)

 

担当 萩原綜合税理士事務所 税理士 萩原睦美

公開日: 2018年09月06日 00:00

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