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通達により法人契約の終身医療保険(短期払)はどうなるか?


 

 

平成31年4月11日付、下記パブリックコメントを基にした法人生命保険に係る個別通達が、近日中に公表される見込みです。

 

「法人税基本通達の制定について」(法令解釈通達)ほか1件の一部改正(案)(定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱い)等に対する意見公募手続の実施について

 

パブリックコメントのとおりの内容となれば、下記の法人契約の保険に関する個別通達は全て廃止となります。

 

〈廃止される個別通達〉

① 法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて(平成20年2月28日付課法2-3)

② 法人契約の新成人病保険の保険料の取扱いについて(昭和54年6月8日付直審4-18)

③ 法人又は個人事業者が支払う介護費用保険の保険料の取扱いについて(平成元年12月16日付直審4-52、直審3-77)

④ 法人契約の「がん保険(終身保障タイプ)・医療保険(終身保障タイプ)」の保険料の取扱いについて(平成13年8月10日付課審4-100)

⑤ 法人が支払う「がん保険」(終身保障タイプ)の保険料の取扱いについて平成24年4月27日付課法2-5、課審5-6)

 

このほか、目下注目されているのは、短期払の無解約返戻金の終身医療等、第三分野も改正の対象になるか否かです。

パブリックコメントでは第三分野商品の経理処理について明記されていませんが、終身保障の短期払は改正の対象になるのでは? との見方もあるようです。

 

2019年6月24日追記 

やはり、短期払の第三分野の短期払についても、税制改正の対象となりそうです。

こちらの記事もぜひご確認ください。

「法人契約のガン医療の全損短期払 年間30万円までに制限する方針」 

 

 

そして、もう一つの論点として、第三分野契約の、法人から個人への保険契約の名義変更時の評価があります。

こちらは、法人の損金算入割合とは異なり、法人・個人双方に絡む、やや複雑なテーマとなります。

 

ここで、これまで解約返戻金額を評価額として、法人から個人に移転できると言われてきた根拠を確認しておきましょう。

 

法人から個人への名義変更において、個人側の税金は所得税法36条が根拠となり、「権利その他経済的な利益」として給与所得の対象となります。

評価額は「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額」とされており、同条では不明確ですが、所得税基本通達36-37(保険契約等に関する権利の評価)においては下記のように記載されています。

 

(保険契約等に関する権利の評価)
36-37 使用者が役員又は使用人に対して支給する生命保険契約若しくは損害保険契約又はこれらに類する共済契約に関する権利については、その支給時において当該契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額)により評価する。

 

この通達を根拠に、権利の評価は「契約を解約した場合に支払われる解約返戻金+配当・前納保険料」で行われているわけです。

 

 

また、相続・贈与時の財産評価の基本となる、財産評価基本通達214にも、下記の記載があり、相続時の契被別の保険契約や非上場株の評価の際にも同じ考え方が用いられていることが分かります。

 

214 相続開始の時において、まだ保険事故(共済事故を含む。この項において同じ。)が発生していない生命保険契約に関する権利の価額は、相続開始の時において当該契約を解約するとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合にはこれらの金額を加算し、解約返戻金の額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には当該金額を減算した金額)によって評価する。(平15課評2-24追加)

 

さらに法人税法に関しては、保険契約の評価に関する条文はなく、非上場株の評価においては財産評価基本通達が使用されています。

 

このように、法人から個人への保険契約の移転時の評価は「解約返戻金」が統一見解となっており、「実際の価値」とは乖離していると感じる契約であっても、「解約返戻金」以外の解釈は、現状で存在しません。

(もちろん、低解約返戻金の契約などで実際の価値と評価が極端に乖離しているケースでは、同族会社等の行為計算否認規定(所法157)の発動に注意が必要ですが。)

 

以上の状況を総合的に考えると、仮に今回の通達改正で第三分野の経理処理が変わったとしても、法人から個人への名義変更時の評価が変わらない限り、法人契約の終身医療保険(短期払)の効果はなくならず、販売の抑制にはつながりません。

 

通達がどのような内容になるかは分かりませんが、個人的な見解として、法人契約の第三分野商品(短期払)には、引き続き一定のニーズが残るように感じています。

 

また、定期保険についてはパブコメ案どおりの改正が濃厚と言われていますが、

これまでの商品に当てはめるとどのようなパフォーマンスになるのか検証しました。

 

ぜひ、こちらのコラムもご覧ください。

 

定期保険パブコメ案によるシミュレーションと対応策(無料会員)

https://z-lab.jp/announce/27

 

会員登録は無料です。約1分で完了します。

 

 

 

公開日: 2019年06月10日 17:43

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