国税庁が、法人契約のがん保険や医療保険について、全額損金算入できる保険料の範囲を1契約当たり年間30万円までに制限する方針を各生命保険会社に通知していたことが分かりました。
近年、解約返戻金がないとはいえ、医療等の保障に対する多額の保険料を短期払する商品が増えてきたことから、今回の通達で見直されることとなったものです。
これまでは、平成24年の終身がん保険の通達に記載された例外的取扱いとして、解約返戻金がない契約は全額損金と規定されていましたが、これが個別に改正されることとなります。
平成24年通達 例外的取扱 (抜粋)
保険契約の解約等において払戻金のないもの(保険料払込期間が有期払込であり、保険料払込期間が終了した後の解約等においてごく小額の払戻金がある契約を含む。)である場合には上記にかかわらず、保険料の払込の都度当該保険料を損金の額に算入します。
今回の改正により、法人税基本通達9-3-5に「年間払込保険料が30万円いかの場合には都度損金を認める」という記載が追記されることとなりそうです。
なお、「1契約30万円以下であれば、複数契約すればよいのではないか」という見解もあるようですが、これは1被保険者ごとの通算(全保険会社合計)で判断することとなっており、複数契約に分けても無意味です。
なお、新聞記事では「新ルールは10月から適用される見通し」となっており、この通りとなれば3か月間の猶予があります。
以上の改正により、最後に残されていた節税商品の改正も決まり、いよいよ月内に通達が出される見込みです。