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法人生命保険料に係る改正通達(パブコメ結果)が公表されました


 

2019年6月28日午後、同年4月11日付パブリックコメント(定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱い)の公募結果が公表され、法人税基本通達が改正されました。 

 

改正内容は概ね予想されていた通りですが、まずはパブコメに対して示された「国税庁の考え方」(Q&A)のうち、保険提案の実務に関連するポイントについて見てゆきましょう。

 

 

 

一般意見1 (がん保険関係)

「(前略)平成24年4月27日付「がん保険通達」の「例外的取扱い」において、保険期間が終身で保険料の払込期間が有期の保険のうち、保険契約の解約等において返戻金のないものは、保険料の払い込みの都度損金算入が認められていたが、今回の改正案では、支払の都度、損金算入とすることは認められないのか。」

 

国税庁回答(抜粋)

「改正案においては、定期保険及び第三分野保険に該当する保険商品間の取扱いの統一化を図る観点から、この「例外的取扱い」を存置せずに、廃止することととしていました。

しかしながら(中略)、事業年度に払った保険料の合計額が30万円以下のものについては、その支払った日の属する事業年度において損金算入することを認めることとし、その旨を改正通達9-3-5の(注)2に定めました。」

 

改正通達9-3-5の(注)2

注2 (1)及び(2)前段の取扱いについては、法人が、保険期間を通じて解約返戻金相当額のない定期保険又は第三分野保険(ごく少額の払戻金のある契約を含み、保険料の払込期間が保険期間より短いものに限る。以下9-3-5において「解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険」という。)に加入した場合において、当該事業年度に支払った保険料の額(一の被保険者につき2以上の解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険に加入している場合にはそれぞれについて支払った保険料の額の合計額)が30 万円以下であるものについて、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときには、これを認める。

 

 

 

一般意見2 (養老ハーフタックス・名変プラン)

「今回改正される定期保険に代わって、いわゆる養老保険の福利厚生プランが利用されることが懸念される。また、低解約返戻金型定期保険を個人に名義変更するいわゆる名義変更プランなどについても、対策を行う必要があるのではないか。」

 

国税庁回答(抜粋)

「(前略)保険会社各社の商品設計の多様化、長寿命化その他の経済環境の変化などに伴い、その取扱いの見直しが必要と認められた場合には、適時適切に対応してゆく必要があると考えています。国税庁としては、ご意見のような保険商品やその他利用実態も含め、保険商品全般の実態を引き続き注視してまいりたいと考えています。」

 

 

 

一般意見3 (変額定期保険の扱い)

「変額定期保険など運用実績に応じて解約返戻金が確定するため、解約返戻金が契約時点では定まらない商品はどのように取り扱えばよいか。」

 

国税庁回答

「例えば、変額定期保険については、保険会社から契約時に示された予定利率に基づく解約返戻金相当額を用いて差し支えありません。」

 

 

 

一般意見4 (「当初10年」の期間の定義について)

「最高解約返戻率が85%超の場合、資産計上額は、当初10年が×90%、11年以後が×70%となるが、例えば10年を経過する日が、法人の事業年度の中途の場合(月途中の場合)、一月未満は切り捨てるのか、切り上げるのかを明記すべきではないか。」

 

国税庁回答(抜粋)

「(前略)この端数について、切り捨てて計算するのか否かが明らかではありませんでしたので、その1月未満の端数を切り捨てて計算する旨を、改正通達9-3-5の2の(1)(注)に明記することとしました。」

 

 

 

一般意見5 (配当・生存給付金の取扱いについて)

「解約返戻金の計算に当たり、契約者配当を解約返戻金相当額に含めて計算するのか。」

「最高解約返戻率の判定上、生存給付金は解約返戻金相当額に含めて計算するのか。」

 

国税庁回答(抜粋)

「いわゆる生存給付金は、解約返戻金相当額に含まれますが、一般に、利差益、死差益及び費差益を原資とする契約者配当は、解約返戻金相当額には含まれません。」

 

 

 

一般意見6 (税制に関する意見)

「金融庁により認可された保険契約について後から税の取扱いを変更すべきではない。」

 

国税庁回答(抜粋)

「税の執行機関である国税庁は、金融庁による保険商品の認可について、考えを述べる立場にはありません。なお、国税庁では、これまでも保険会社の商品設計の多様化等により、前払部分の保険料の割合等に変化がみられる場合には、その実態に応じて見直しを行ってきています。また、今般の改正通達の適用時期については、予測可能性の確保等の観点から総合的に判断し、既契約については従前どおりの取扱いとしています。」

 

 

 

一般意見7 (国税庁に対する意見)

「国税庁が、今回の通達改正の方針を生命保険協会に伝達した2月14日以降、金融庁が認可した商品でありながら販売停止を各保険会社に強制指導したことについて、その法的根拠は何か。」

 

国税庁回答(抜粋)

「国税庁において、各生命保険会社に対して保険商品の販売停止を求めた事実はありません。

 また、税の執行機関である国税庁は、各生命保険会社に対し、保険商品の販売に関する指導等をする立場にはありません。」

 

※上記の番号は、抜粋の際に整理するために付したものであり、原本に付されたものではありません。

 

 

 

上記通達をふまえた改正後の商品シミュレーション

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通達に対応した今後の販売戦略については、こちらのコラムをご覧ください。

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改正通達では、これまでの保険商品毎の下記の5つの個別通達を廃止した上で、新設された法基通9-3-5の2によって、最高解約返戻率が50%を超えるものを3つに区分し、それぞれ一定の割合を資産計上する取扱いとなります。

 

[廃止される個別通達]

 法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて(平成20年2月28日付課法2-3)

 法人契約の新成人病保険の保険料の取扱いについて(昭和54年6月8日付直審4-18

 法人又は個人事業者が支払う介護費用保険の保険料の取扱いについて(平成元年1216日付直審4-52、直審3-77

 法人契約の「がん保険(終身保障タイプ)・医療保険(終身保障タイプ)」の保険料の取扱いについて(平成13年8月10日付課審4-100

 法人が支払う「がん保険」(終身保障タイプ)の保険料の取扱いについて平成24年4月27日付課法2-5、課審5-6)

 

 

[最高解約返戻率毎の損金算入割合]

 

最高解約返戻率が50%超70%以下となる場合 (60%損金)

保険期間の前半100分の40を資産計上期間とし、支払った保険料の40%は資産計上し、残額は損金に算入する。
資産計上期間経過後は、支払った保険料を保険期間の経過に応じて損金算入するとともに、
資産計上していた金額は、保険期間の100分の75の経過後から保険期間終了までの間で均等に取り崩す。


最高解約返戻率が70%超85%以下となる場合 (40%損金)

保険期間前半の100分の40を資産計上期間とし、支払った保険料の60%は資産計上し、残額は損金に算入する。
資産計上期間経過後は、支払った保険料を保険期間の経過に応じて損金算入するとともに、
資産計上していた金額は、保険期間の100分の75の経過後から保険期間終了までの間で均等に取り崩す。

 

最高解約返戻率が85%超となる場合 

保険期間開始から、最高解約返戻率までの期間(資産計上期間)では、

支払った保険料のうち、その金額に最高解約返戻率の100分の70(保険期間開始から10年を経過するまでは100分の90)を乗じた金額を資産計上し、残額は損金に算入する。

 

また、資産計上期間経過後は、支払った保険料を保険期間の経過に応じて損金の額に算入するとともに、

資産計上していた額については、解約返戻金ピークの経過後から保険期間終了まで均等に取り崩す。

 

 

[最高返戻率による損金算入割合 まとめ]

ピーク返戻率 損金算入割合
50%未満 全額損金
50%超 70%以下 60%損金
70%超 85%以下 40%損金
85%超 最高返戻率により規定

 

 

 

 

[医療・介護・ガン保険 終身の短期払契約について]

 

これまで、法人による解約返戻金がない第三分野契約については、平成24年の終身がん保険の通達に記載された例外的取扱いとして、全額損金とされていました。

平成24年通達 例外的取扱 (抜粋)

保険契約の解約等において払戻金のないもの(保険料払込期間が有期払込であり、保険料払込期間が終了した後の解約等においてごく小額の払戻金がある契約を含む。)である場合には上記にかかわらず、保険料の払込の都度当該保険料を損金の額に算入します。

 

こちらも、今回の法人税基本通達9-3-5に、パブコメ案からの修正として下記の文言が追記されたことにより、年間払込保険料が30万円以下の場合には都度損金を認める、という規定に改正されます。

 

注2 (1)及び(2)前段の取扱いについては、法人が、保険期間を通じて解約返戻金相当額のない定期保険又は第三分野保険(ごく少額の払戻金のある契約を含み、保険料の払込期間が保険期間より短いものに限る。以下9-3-5において「解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険」という。)に加入した場合において、当該事業年度に支払った保険料の額(一の被保険者につき2以上の解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険に加入している場合にはそれぞれについて支払った保険料の額の合計額)が30 万円以下であるものについて、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときには、これを認める。

 

なお、上記マーカー部分のとおり、保険料の30万円以下は1被保険者ごとの通算(全保険会社合計)で判断することとなり、複数保険会社や複数契約で加入しても合計額は変わりません。

 

改正内容は概ね以上となり、今後の各社の商品開発に注目したいと思います。

 

個別商品及び特約の税務取扱いの詳細ついては、こちらのコラムでも解説しています。

 

 

また、これまでの法人保険税務の変遷について、動画でまとめました。

 

「法人保険税務のポイント(1) 法人保険税務の変遷」 (無料動画)

 

 

公開日: 2019年06月28日 00:00

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