今では一般的に活用されている保険料贈与プランですが、昭和50年代後半まで、保険料支払能力がない子供への保険料贈与プランは税務面でグレーな扱いをされていました。
根拠としては、相続税法第3条第1項第3号の規定において、
「保険契約者と保険料負担者が異なっているような場合には、最終的に保険事故が発生したときに課税関係を終了させる」、という内容になっていることがあります。
当時は税務面でグレーなプランということで、大半の保険会社がこのセールスを行っていなかったようです。
それに対し、昭和58年9月に下記の内容で国税庁から事務連絡が発信され、ようやく保険料贈与プランについて明確な基準をもとにセールスが行われるようになりました。
よく言われている贈与プランの注意点については、この事務連絡の(4)①~④が根拠になっています。
こちらの内容はぜひ確認しておきましょう。
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国税庁から各国税局宛に発信された事務連絡 [昭和58年9月]
(1)被相続人の死亡又は生命保険契約の満期により保険金等を取得した場合若しくは保険事故は発生していないが保険料の負担者が死亡した場合において、当該生命保険又は当該生命保険に関する権利の課税に当たっては、それぞれの保険料の負担者からそれらを相続、遺贈又は贈与により取得したものとみなして、相続税又は贈与税を課税することとしている。
(注)生命保険金を受け取った者が保険料を負担している場合には、所得税(一時所得又は雑所得)が課税される。
(2)生命保険契約の締結に当たっては、生計を維持している父親等が契約者となり被保険者は父親等、受取人は子供等として、その保険料の支払いは父親等が負担しているというのが通例である。
このような場合には、保険料の支払いについて、父親等と子供達との間に贈与関係は生じないとして、相続税法の規定に基づき、保険事故発生時を課税時期としてとらえ、保険金を受け取った子供等に対して相続税又は贈与税を課税することとしている。
(3)ところが、最近、保険料支払い能力のない子供等を契約者及び受取人として生命保険契約を父親等が締結し、その支払保険料については、父親等が子供等に現金を贈与し、その現金を保険料の支払いに充てるという事例が見受けられるようになった。
(4)この場合の支払保険料の負担者の判定については、過去の保険料の支払資金は父親等から贈与を受けた現金を充てていた旨、子供等(納税者)から主張があった場合は、
事実関係を検討の上、例えば、
①毎年の贈与契約書
②過去の贈与税の申告書
③所得税の確定申告等における生命保険料控除の状況
④その他贈与の事実が認定できるもの などから
贈与事実の心証が得られたものは、これを認めることとする。
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一般的に、贈与を受ける子供(または親権者)が、金銭をもらったことを認識していなければ、当然これは贈与にはならず、名義預金と指摘されるはずです。
しかし、贈与を受けた子供が生命保険の契約者となり保険料を支払っていたとすれば、これを税務署が「贈与ではない」と主張するのは極めて難しくなると感じます。
子が保険契約の手続きをしていれば、なおさらです。
収入のないお子様への保険料贈与は、こんなところにもメリットがあるのです。
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株式会社FAST財産研究所 佐藤 伸吾